厚生労働省の国民健康・栄養調査によりますと、成人の何と2人に1人が、高血圧もしくは高血圧予備軍と言われています。
寒さで身が縮むようなこの時期は、身体の熱が奪われないように血管が収縮するため、血圧は上がりやすくなります。
日頃から血圧が高い方は、この時期とくに注意が必要です。
そこで、今回は「高血圧」について、お話することにしましょう。
血圧とは…
血液は心臓のポンプ機能によって全身に届けられます。
この心臓から送り出された血液が、血管の壁を押す圧力を「血圧」と言います。
「上の血圧」「下の血圧」とよく言いますが、上の血圧とは「収縮期血圧(最高血圧)」、下の血圧とは「拡張期血圧(最低血圧)」のことです。
血圧の数値…どのくらいが高血圧?
では、血圧の数値がどのくらいになると、高血圧に分類されるのか見てみることにしましょう。
油断大敵!正常高値血圧…
先の血圧の分類には、高血圧と診断されるほどではないものの、少し血圧が高めの「正常高値血圧」があります。
日本高血圧学会では、この「正常高値血圧」を「高血圧予備軍」ととらえ、高めの血圧に加えて、年齢(65歳以上)や喫煙、脂質異常症、腹部肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病など、危険因子が多くある場合には、治療の対象になるとしています。
血圧の数値が「正常高値血圧」の範囲に入る方も、油断はできません!
なぜよくない?高い血圧…
血圧の高い状態が続くと、次のような状態を引き起こします。
このように、高血圧によって血管の壁に高い圧力がかかり続けると、動脈硬化が起きやすくなり、進行すると重い病気を招く可能性が高くなります。
また、動脈硬化によって血管の内腔が狭くなると、血液の流れが悪くなり、さらに血圧が上がるという悪循環に陥ってしまいます。
見逃されやすい“仮面高血圧”とは?
病院の血圧測定では正常の範囲内で問題ないと言われても、それ以外のときには血圧が高い…
これが「仮面高血圧」です。この「仮面高血圧」には次のようなタイプがあります。
早朝高血圧 | モーニングサージ型 | 朝、目覚める前後に血圧が急に上がる ※高齢者や動脈硬化がある人に多い |
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夜間型 | 睡眠中から朝まで血圧が高い状態が続く ※心臓病や腎臓病、睡眠時無呼吸症候群のある人に多い |
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職場高血圧 | 仕事のストレスや疲労が原因で、職場でのみ血圧が高い |
病院で処方される降圧薬は?
高血圧を改善していく上で、最も大切とされるのは生活習慣の改善です。
しかし、一定期間生活習慣を改善しても血圧が下がらない場合には、降圧薬による治療が行われます。
病院からは次のようなお薬が処方されます。
降圧薬 | 働き |
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カルシウム拮抗薬 | 全身の血管を広げる |
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 | 血管を収縮する作用を持つホルモンの働きを抑える |
アンジオテンシン変換酵素阻害薬 | |
利尿薬 | 腎臓に働いてナトリウムや水分の排泄を促し血液の量を減らす |
β遮断薬 | 心臓に働いて心拍出量を減らす |
ホノミ漢方の血圧対策のお薬は?
ホノミ漢方には、「サイロ」や「サイロヤング錠」があります。
サイロ、サイロヤング錠は、生薬のみから構成されており、血圧の上がりやすい体質や、血圧上昇に伴って起こる随伴症状(肩こり、耳なり、頭痛など)を改善していくお薬です。
これらのお薬は、体質や病状を考えて正しく服用することが大切ですので、服用に際しては、ホノミ漢方会会員の薬局・薬店の先生方とよくご相談ください。
生活習慣で気を付けること
高血圧を改善する上では、日頃の養生は欠かせません。そこで、生活習慣で気を付けるポイントを紹介しましょう。
1)食事は塩分を控えめに…
- 食塩(塩化ナトリウム)を取りすぎると、血液中のナトリウム濃度が増え、その濃度を下げようと血液中の水分量が増えます。そのため、血液の量が多くなり、血圧が高くなります。
- 目標とする食塩の摂取量は、「1日6g未満」とされています。日本人の平均摂取量は11gと言われていますので、少しずつ減塩に取り組んでいきましょう。
- 塩分控えめの食事は、どうしても味気ないものになってしまいますので、柑橘系の酸味や、ニンニクやショウガなどの風味を利用してみるのも良いでしょう。
2)お酒はほどほどに…
- アルコールは、血管を拡げる作用があるため、お酒を飲んだ直後は血圧が下がるのですが、酔いがさめるころには、血管が収縮するため、血圧が上がってしまいます。
- 高血圧に悪い影響を与えない適量は、アルコール量にして男性では1日30ml未満(ビールなら大瓶1本まで、日本酒なら1合まで)、女性ではその半分15ml未満であると言われています。
- また、お酒を飲むときには、どうしても塩分の多い食べ物をとりがちになりますので、気を付けましょう。
3)身体を適度に動かしましょう!
- 適度な運動は、血液の流れを良くして、血圧を下げる効果につながります。
- また、高血圧の要因となる肥満の解消にもなりますので、ウォーキングやジョギングなどによって身体を動かす習慣をつけましょう。