「令和6年度 文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞」受賞

2024年4月24日

このたび、文部科学省より、「優れた創意工夫によって各職域における技術の改善向上に貢献した方」に贈られる「令和6年度 文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞」を受賞いたしました。

(令和6年4月24日に和歌山県庁にて、受賞及び伝達式が挙行されました)

 

創意工夫功労賞

「錠剤製造工程における高速打錠化の考案」

・打錠は打錠機により行われますが、打錠速度が速くなるほど、打錠障害が起こりやすくなります。また、排出抵抗(打錠後、錠剤の排出時に錠剤機の臼との間に起こる)が高い程、また錠剤の硬度が低い程、打錠障害が起こりやすいという特性があります。

・打錠障害を防ぎつつ、更なる高速打錠の実現を図る為に、複数の薬剤、または添加物に関して排出抵抗と硬度を測定し、その結果から、最良と思われる薬剤と添加剤の組み合わせで打錠した排出抵抗と硬度の評価、打錠機に投入する薬剤の状態(粉体・顆粒)の検討などを重ねた結果、高速打錠化を実現することが出来ました。

 

「新胃腸薬の製造方法検討における効率化の考案」

・胃腸薬の顆粒剤については、これまでは服用時の清涼感を出すため、崩壊性が良い乾式造粒法を用いて製造してきましたが、乾式造粒する場合の課題として、処方中の約40%を占める制酸剤(粉体)の圧縮成形性が悪いことが挙げられます。

・この特性が処方全体の粉末の特性として表れ、乾式造粒ではフレークが脆く、解砕時に多くの粉が発生するため、顆粒の歩留まりが悪く、何度も圧縮を繰り返して顆粒剤を製造するという課題がありました。

・これらの課題を解決するため、湿式造粒法を採用し、減圧下で乾燥出来る機能が備わった撹拌混合造粒機を用いることで従来の方法で発生する粗粒子や微粉末を最小限に抑えることが出来、より流動性の良い粒子を造粒することが可能になりました。

 

「軟膏剤チューブの改良」

・アルミチューブに軟膏剤が入ったタイプの製品にて、愛用者様より「アルミチューブを押しても開口部から軟膏剤が出てこない」とのご意見をいただき、調査いたしましたところ、チューブの開口部に軟膏剤の塊と思われるものが詰まっていることが原因になっていることが分かりました。

・アルミチューブ内面のエポキシフェノール樹脂の被膜が剥がれたことにより、チューブの材質であるアルミニウムと充填されている軟膏剤の薬剤中の成分が反応して軟膏剤が塊状になり、これがチューブの開口部を塞ぎ、軟膏剤が出てこないことの原因であることを解明しました。

・同様の事象が発生しないようにするため、下図のように「アルミニウム層」と「薬剤と反応しない樹脂」を重ね合わせたラミネート構造のチューブに変更することで、使用期限内で塊が発生しない事を確認し、同じ不具合が起こる要因を取り除くことが出来ました。