日本では、成人が「ぜんそく」を発症する割合が増加し、約50年前と比べると、3~4倍に…。
そして成人と小児を合計すると、何と約400万人~450万人もの人がぜんそくに悩んでいると言われています。
そこで、今回は「ぜんそく」についてお話しすることにしましょう。
ぜんそくが多い季節
厚生労働省の保健福祉動向調査を見ると、ぜんそくなど呼吸器のアレルギー症状は、とくに「春」や「春から夏にかけて」、そしてこれからの季節「秋から冬にかけて」起こりやすいことが分かります。
理由としては、次のようなことが考えられています。
春は…
さまざまな病原体などが活発になる
春から夏にかけては…
梅雨時に発生しやすいカビの影響を受ける
秋以降は…
- 夏の暑い時期に布団などに繁殖したダニの死骸や排泄物を、秋になって吸い込む
- 気候が変動して気圧が低くなる
ぜんそくの原因
ぜんそくの原因の中で多いのが、ダニやほこり、ペットのフケなどのアレルギー物質(アレルゲン)です。
ただし、アレルゲンを吸い込んだからといって誰もが起こすわけではなく、アレルギーを起こしやすい体質なども関係しています。
そのほか、かぜの原因となる「ウイルス」や、「たばこの煙」「薬(アスピリンなど)」「大気中の汚染物質」などが原因になって起こることもあります。
ぜんそくの症状
ぜんそくの症状は夜間や早朝に起こりやすいのが特徴で、次のような症状が現れます。
せき・たん | 発作が軽いときに現れる症状で、風邪と間違えてしまうケースもあります。 |
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喘鳴(ぜんめい) | 狭くなった気道を空気が通るため、呼吸に伴って「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がします。 |
息苦しい | 空気が気道を通りにくくなって息苦しくなります。ひどい場合は、呼吸ができなくなることもあります。 |
ぜんそくと似た症状が起こっていても、それが別の病気から来ている症状の可能性もあります。
その場合には、その病気に適した治療が必要になりますので、参考にぜんそくと似た症状を起こす病気について紹介しておきましょう。
風邪、肺炎、結核など
ウイルスや細菌による感染によって、せきやたんなど呼吸器の症状が起こります。感染症は発熱を伴いますが、高齢者の場合は高熱が出ないことが多くあります。
副鼻腔気管支症候群
副鼻腔炎によって鼻汁がのどに流れて気管に入り、気管支炎を起こしてせきが出ることがあります。
逆流性食道炎
胃液が食道へ逆流してのどの方にまで上がってくることがあり、それが肺に入って、ぜんそくに似た症状を起こすことがあります。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
喫煙歴の長い人に起こりやすい病気で、気管支やその先の肺胞組織に病変が生じて、息切れやせき、たんなどの症状が現れます。
では、次にぜんそくはどのようにして起こるのかについて見てみましょう。
ぜんそくの起こり方
右の図のように、気道は「上皮細胞」「基底膜」「粘膜下層」や、「平滑筋」という筋肉などによって取り囲まれています。
ぜんそくの人の場合は、次のように気道で慢性的に炎症が起き、内腔が狭くなっているため、症状が発作的に現れます。
この状態を繰り返すと、炎症が悪化して気道がますます過敏になり、悪循環を招きます。
現代医学の治療は
ぜんそくの治療は薬物療法が中心で、気道における慢性的な炎症を抑える薬(吸入ステロイド薬)や、発作を抑える薬(気管支を拡張させるβ2刺激薬やテオフィリン)が用いられます。
ホノミ漢方では
ぜんそくによる、つらいせき・たんなどの症状を鎮めるために、ホノミ漢方には、ヒューゲン錠deux・ヒューゲン顆粒deuxがあります。
ヒューゲン錠deux・ヒューゲン顆粒deuxは、次のような働きを持ったお薬です。
(1)杏仁・五味子・細辛・車前子・ノスカピンがせきの症状を鎮める
(2)甘草・車前子がたんの症状を取り除く
(3)蘇葉・甘草・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩が、せき・たんの原因となるアレルギー症状を鎮める
病気を治療する上では、加えて日頃の養生も大切です。
最後にぜんそくを悪化させないために、日常生活で気を付けるポイントを紹介しましょう。
ぜんそく時…日常生活で気をつけること
1)アレルギー物質(アレルゲン)を除去する。
- ダニやほこり、ペットのフケなど、アレルギーの原因となる物質が分かる場合は、それらをできるだけ避けるため、こまめに掃除をするなどしましょう。
2)刺激になるものは控えましょう。
- タバコの煙や冷たい風などは、刺激になってせきを誘発させることがあり、とくにタバコの煙は、気道の炎症を悪化させると言われています。本人だけではなく、家族も禁煙することが大切です。
- コショウなどの香辛料も、気道を刺激してせきを起こす可能性がありますので控えた方が良いでしょう。
3)食べ過ぎは禁物!
- 食べ過ぎると、胃が膨らんで横隔膜を押し上げ、気管や気管支、肺などの臓器の働きを悪くしてしまいます。