「今日こそ眠れるかな…」
「朝までぐっすり眠って、気持ちの良い朝を迎えたい…」
睡眠の悩みをもつ日本人は10人に1人。

日中活動して疲れているにもかかわらず、眠りにつけなかったり、眠れてもすぐに目が覚めてしまったり…。疲れがとれないまま朝を迎える日が続くと非常につらいものです。
そこで今回は『疲れと不眠症』についてお話ししましょう。
不眠症とは
「不眠症」とは何らかの原因で十分な睡眠がとれず、日中に倦怠感や疲労感、集中力の低下が起こり日常生活に悪影響を及ぼす状態です。必要な睡眠時間は人によって異なるため、眠っている時間が短くても日中元気に活動できていれば、不眠症ではありません。
不眠症は大きく4つのタイプに分けられ、それぞれ特徴と好発年齢は次のとおりです。
|
特徴 |
好発年齢 |
---|---|---|
入眠障害 |
寝床に入ってもなかなか寝つけない |
年齢による差はない |
中途覚醒 |
夜中に何度も目が覚める |
高齢者に多く、 |
早朝覚醒 |
起きる予定時刻より2時間以上早く目が覚め、 |
|
熟眠障害 |
睡眠時間は比較的とれているが、 |
年齢による差はない |
不眠症の原因
このような不眠はどうして起こるのでしょうか?
まずは、不眠の原因を考えるにあたって大切な「睡眠の周期」と「体内時計」について説明しましょう。
睡眠の周期
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があり、眠っている間はおよそ90分周期でレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されています。
体内時計
人間の脳には1日の身体の活動や、休息のリズムを調節する「体内時計」があります。体内時計のサイクルは1日約25時間なので、放っておくと毎日1時間ずつずれて就寝時間も遅くなっていきます。このずれをリセットするために大切なのが朝日です。私たちは朝日を浴びると体内時計がリセットされ、約15時間後に眠くなる仕組みになっています。
このように太陽の光は、体内時計や、体内時計に基づく睡眠と密接に関係しているのです。
それでは、ここから不眠の原因を紹介していきます。原因はいくか知られていますが、若年者と高齢者に分けて、それぞれ不眠のきっかけとなりやすいものを見ていきましょう。
若年者に多い不眠の原因
①精神的なストレス、不安、心配
仕事での緊張感が夜まで持続したり、悩みや心配で神経が高ぶると寝つけなくなります。そして一度うまく寝つけないと「また眠れないかもしれない」と不安になり、ますます寝つけなくなってしまいます(不眠恐怖)。
またストレスなどがかかると、ノンレム睡眠が減りレム睡眠が増えてしまうため、睡眠の途中で目が覚めることも多くなります。
②夜更かし、生活リズムの乱れ
夜更かしを続けると、体内時計が乱れて夜遅くにならないと眠れなくなります。すると、朝起きられなくなったり、起きたとしてもやる気がでなかったりします。
高齢者に多い不眠の原因
①加齢に伴う自然現象
年をとると体内時計の周期が短くなるため、体内時計が前にずれて早朝に目が覚めやすくなります。さらに、成長に関わるノンレム睡眠が減り、浅い眠りであるレム睡眠が増えるため、中途覚醒も起こりやすくなります。
②心理的・身体的な要因
腰や背中の痛み、皮膚のかゆみ、前立腺肥大による夜間頻尿などで中途覚醒が起こることも多くなります。また、このような身体の不調を気にしすぎると、さらに不眠になります。
③昼夜のメリハリがなくなった
仕事や子育てから解放されると日中の活動量が減ったり、光を浴びる機会が少なくなりがちなことから、1日の中で昼夜のメリハリがなくなって眠りの質が変わります。
その他
眠るためにも体力は必要で、虚弱体質の人や、神経が細い人が心身ともに疲れると眠れなくなってしまいます。そして、不眠が続くとさらに疲れがたまり、ますます眠れなくなる悪循環に陥ってしまうのです。
病院における不眠の薬物療法
病院では、睡眠の悩みに対する治療薬として、主に次の薬物が使われています。
治療薬 |
特徴 |
ベンゾジアゼピン受容体作動薬 |
脳全体の活動を鎮め、眠りをもたらす働きがあります。非常に多く使われています。 |
メラトニン受容体作動薬 |
体内時計に働きかけ、身体を夜の休息状態にする働きがあります。夜型の人や、睡眠時間のずれが治らない人によく使用されます。 |
オレキシン受容体拮抗薬 |
脳内にある覚醒のスイッチを切ることで眠りをもたらします。2014年から使われるようになった新しい薬です。 |

ホノミ漢方における不眠対策
ホノミ漢方には不眠対策のお薬として『コンレス錠』があります。
コンレス錠は次の生薬から構成され、睡眠を妨げる自律神経やホルモンの乱れを正すことで、現代人に多い虚弱体質の人が、心身ともに疲れているにもかかわらず眠れないものを改善していきます。
自分でできる不眠対策
1)適度な運動をする
昼間は積極的に活動して、太陽の光を浴びるようにします。活動することで適度な疲労感が得られる上に、日中(特に午前中)太陽の光を浴びることで、夕方以降に睡眠物質(メラトニン)が多く分泌されるので、眠りにつきやすくなります。
2)午後3時以降に昼寝をしない
午後3時以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼすといわれています。昼寝をする場合は、午後3時より早い時間に15~20分程度にします。
3)眠くなるまで寝室に行かない
眠れなかったらどうしようという不眠恐怖によって眠れない人は、「寝室は眠れず苦しい場所」というイメージにとらわれています。このイメージを払拭するためにも、眠くなってから寝室に行くようにします。また、20分以上眠れないときは一度寝室を離れ、眠気が訪れるまでリラックスして過ごしましょう。
4)夜型の人は、ひとまず起きて朝日を浴びる
夜遅い時間にならないと眠れない人は、眠くても早く起きて朝日を浴びましょう。体内時計を元に戻すことができます。このとき、毎日同じ時間に起きることが大切です。