高齢者が増えるにつれ、新聞やテレビ、インターネットでも採り上げられる機会が多くなってきた「フレイル」や「サルコペニア」。
年齢とともに身体に変化が出てくるのは当然のこととはいえ、日常のちょっとした違和感を放置すると、さらに心身の活力が衰え、フレイルやサルコペニアにつながってしまいます。
例えば…
食事の際によくむせる
歩いていると人に抜かれることが多い
階段を使うのがつらい
歩いて移動するのが億劫
・・・など
これらに身覚えのある方は、身体の筋力や活動が減ってきていると考えられ、フレイルやサルコペニアの状態になっている可能性もあります。
フレイルやサルコペニアは、何も対策を取らないと介護が必要になったり、寝たきりになったりしてしまう危険性も高くなりますので、今回はこの『フレイル・サルコペニア』を採りあげ、お話しすることにしましょう。
フレイルとは
まずは、フレイルについてお話ししましょう。 フレイルは「虚弱」という意味の英単語「frailty」が語源となっている言葉で、栄養状態が悪く、元気がない状態を指します。はっきりと自覚できる症状は無いものの、日常生活で感じる衰えがフレイルの危険信号です。フレイルの原因としては左図の3つが相互に影響し合っていると考えられています。 |
3つの要因の中でも特に社会参加はフレイルにおいて重要な位置にあり、社会性の改善により他の問題も解決することが多いとの調査結果もあります。人とかかわりを持ちながら活動したり食事をすることで、フレイルの予防や改善につながるのです。
フレイルを招くこれら3つの要因を簡易的にチェックし、フレイルの危険性を調べる「イレブンチェック」というものが考案されていますので、一度チェックしてみてください。
このイレブンチェックで緑の項目に1つでも『NO』がある、あるいは赤い項目に『NO』が5つ以上ある場合フレイルへの注意が必要となります。
フレイルの可能性が高い場合は、まず「人と一緒に○○する」など、社会性を高める努力をすると共に、栄養面や運動面からの対策も心掛けることが大切です。(後述の養生法も参考にして下さい)
サルコペニアとは
次にサルコペニアについてお話していきましょう。
サルコペニアはギリシャ語の「sarx(筋肉)」と「penia(減少)」を組み合わせた造語で、その名の通り加齢や生活習慣などの影響により急激に筋肉が減ってしまう状態です。
サルコペニアは高齢になるほど増加し、85歳以上になると半数以上がサルコペニアだといわれています。また、若い女性であっても過度の食事制限によるダイエットによりサルコペニアになっている人も見られます。診断基準は筋肉量、歩行速度、握力を測定した数値によって表されています。
サルコペニアの診断基準とその数値
筋肉量…BIA法という身体に電気を通し筋肉量を測る方法で、測定には専門の機械が必要。
1㎡当たりの筋肉量が 男性7.0㎏未満、女性5.7㎏未満
歩行速度…1秒で歩ける距離が0.8m以下
握力…男性26kg未満、女性18kg未満
また、サルコペニアは寝たきりの危険性だけではなく、糖尿病などの他の病気への危険因子ともなります。
筋肉は糖などのエネルギーを貯蔵する役割があります。そのため、サルコペニアによって筋肉量が減少すると、糖が筋肉に貯蔵されず血液中に流れ出てしまいます。また、高血糖の状態は血管にダメージを与えやすく心筋梗塞や脳卒中などにもなりやすくなります。
また、サルコペニアは寝たきりの危険性だけではなく、糖尿病などの他の病気への危険因子ともなります。
筋肉は糖などのエネルギーを貯蔵する役割があります。そのため、サルコペニアによって筋肉量が減少すると、糖が筋肉に貯蔵されず血液中に流れ出てしまいます。また、高血糖の状態は血管にダメージを与えやすく心筋梗塞や脳卒中などにもなりやすくなります。
ホノミ漢方での対策は?
ホノミ漢方には、フレイルやサルコペニアの状態でよくみられる、だるさや疲れやすさを体力を回復させることでを改善するお薬として、「パナパール」(カプセルタイプ)「パナパール錠」(錠剤タイプ)があります。
これらのお薬は、体質や病状を考えて正しく服用することが大切ですので、服用に際しては、ホノミ漢方のお薬をお取り扱いいただいている薬局・薬店の先生とよくご相談ください。
お住まいの近くにあるホノミ漢方会会員の薬局・薬店は「i‐タウンページ」から検索できます!
日常でできる養生法
フレイルやサルコペニアは普段の生活からも予防・改善することができます。
そこで、日常生活で行える養生法をいくつか挙げましたのでご覧ください。
1)社会活動を積極的に行う
自分の活動範囲を広げて、いろいろな人と接するようにしましょう。余暇活動やボランティアに取り込むことで仲間ができ、そこから更に外出や人と会う機会も増えていくようになります。
後述する食事や運動も一人で行うよりも仲間とともに楽しみながら行う方が継続しやすくなるものです。
2)バランスの良い食事をとる
主食・主菜・副菜をバランスよくとるようにしましょう。特に、筋肉を作る元となるたんぱく質と、骨を作る元となるカルシウムは積極的にとるようにしてください。
また、硬い物を食べずに軟らかい物ばかり食べると、噛む力がだんだん衰えてきて、栄養が偏ったり食欲が低下したりする可能性が出てきますので、噛む力をしっかり使う食べ物もとるようにしてください。
3)身体活動・運動を行う
なるべく外に出歩き、余暇を過ごすようにしましょう。余裕があればウォーキングやラジオ体操などの有酸素運動や筋力トレーニングも行うようにすると、筋肉のたんぱく質合成が更に促されますのでオススメです。
あまりきつい内容にすると、やる気を失ってしまいますので、無理のない範囲で楽しめるものを行い、習慣化させることが継続させるコツです。