進学や就職、引っ越しなど、環境や人間関係の大きな変化は、誰もが経験するものです。
しかし、ときにこれらの変化は、私たちの心身に大きな負担となり、それにうまく対処できないと、精神面や行動面に何らかの症状が現れる「適応障害」につながります。
そこで今回は、ストレスによって、誰にでも起こりうる心の不調『適応障害』について、その対策とともにご紹介しましょう。
適応障害とは?
適応障害とは、何らかのストレスがきっかけとなり、日常生活を送ることが困難になるほどの‟心の不調“が現れる病気で、うつ病の‟手前“の状態だと考えられています。
日本人の2~8%の人が適応障害であるといわれており、子どもから高齢者まで幅広い年代で発症する可能性がありますが、特に働き世代に多く、女性は男性の約2倍の病人がいるとされています。
適応障害の原因
適応障害には、学校や職場、家庭などの人間関係、進学や就職などの環境の変化、がんなどの病気の告知等、明確な原因があります。また、一般的に喜ばしい出来事である結婚や昇進でも、その後の環境の変化に不安を覚え、適応障害を起こすことがあります。
適応障害の症状
適応障害では、精神症状や身体症状、素行障害(行動面での症状)が現れ、その症状は人それぞれ異なり、複数の症状に悩まされる場合もあります。
精神症状
身体症状
素行障害
嫌なことがあって気が滅入ることは誰にでもあるものですが、そのために抑うつや不安感などが強くなり、家事ができない、学校や職場に行けないなど、社会生活を送るのが難しい状態になった場合は注意が必要です。
通常、適応障害は、ストレスとなる出来事から3カ月以内に発症しますが、症状は一時的で、ストレスがなくなれば半年以内に改善し、長く続きません。もし半年以上、症状が続くようであれば、うつ病や発達障害など、他の病気の可能性が考えられます。
適応障害の対策
適応障害の状態をそのまま放置して、うつ病などに移行してしまうと、ストレスの原因がなくなっても症状が快方に向かわなくなることがあるため、早めに対策を講じることが大切です。
ストレスの原因から距離を置く
適応障害は、特定のストレスがきっかけで発症するため、そのストレスから離れることで、ほとんどの場合は症状が改善します。
例えば、ストレスの原因が仕事量の多さであれば、仕事量の調節や勤務時間の短縮、人間関係であれば、部署を変えてもらったり、一度休職するなど、ストレスを減らす工夫をします。
また、離婚や病気などストレスを遠ざけることが難しい場合は、自分なりに状況を整理したり、家族や病院・薬局の先生に相談して、不安の症状を軽くしていきます。
十分に休養する
適応障害は、ストレスにより心身のエネルギーが消耗しているため、仕事も家事も普通にできなくなる場合があります。
「早く治そう」と焦らず、適度に活動し、適度に休みながら、自分のペースでゆっくり心理的に回復させることが大切です。
考え方や行動パターンを見直す
適応障害になる人は、次の思考のパターンを持っている傾向にあります。
□二分思考
0か100か、全か無か、白か黒かというようなグレーゾーンのない思考です。自分が考えている明確な結果に完璧さを求めてしまいます。
□選択的注目(こころの色眼鏡)
良いことも起こっているのに、些細なネガティブなことに注目する思考です。
□感情的決めつけ
目の前で起こっている出来事に対して、否定的な結論を出す思考です。
□過度の一般化
小さなことが一つでもうまくいかないと、「自分にはできない」と結論づけてしまう思考です。
□拡大解釈と過小評価
小さなミスをしたときでも「自分はいつもヘマばかりでダメな人間だ」と自分で自分の人格を否定したり、周りの人より秀でた部分があるときに「誰にでもできるため、自分の才能ではない」と自分に対して低い評価をしてしまう思考です。
□自己非難(個人化)
本来自分に関係のない失敗なども「自分の責任だ」とする思考です。
□過度の否定的な予測
否定的な予測をして行動を制限したことから、結果的に失敗し、「次も同じ失敗をするだろう」とますます否定的な予測を信じ込む思考です。
適応障害は、症状がなくなっただけでは全快とはいえず、ストレスに対して自分がどのような考え方や行動パターンを持っているのかに気づき、それを変えていくことが大切です。
このような対策を講じて、精神症状や身体症状の数が減ったり軽くなったりしていれば、適応障害が快方に向かっているといえます。
また、子どもやパートナーなど家族が適応障害になった場合、周囲の人は心配しすぎたり、精神面や経済面などにおいて負担が大きくなり余裕がなくなることがありますが、本人は心身のエネルギーが減っている中、無理をしてしまうため、罪悪感や疲労感で症状が悪化することがあります。
周囲の人は、解決策やアドバイスなどは控え、温かく見守る程度の距離感で極力普段通りに接します。
ホノミ漢方での適応障害の対策
ホノミ漢方には、適応障害の症状別に対応できるお薬として「安静錠」「コンレス錠」「ホノミラビオ錠」があります。
不安や気分の落ち込みが強い方に…
「安静錠」は、胃の弱い人が、胃にたまった水分が原因で起こった自律神経の乱れを整えることで、不安や気分の落ち込みなどの精神の不調を改善していきます。
効能・効果
気欝症、胃腸虚弱者の神経衰弱、更年期神経症、ヒステリー、神経性食道狭窄、胃アトニー、肋間神経痛、つわり、嘔吐、気管支炎、気管支喘息、浮腫
構成生薬
眠れないことがつらい方に…
身体や脳が疲れすぎて、眠るためのエネルギーも消耗し、なかなか寝つけないときに、「コンレス錠」は睡眠を妨げる自律神経やホルモンの乱れを整え、徐々に眠れる体質にしていきます。
効能・効果
体力中等度以下で、心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの次の諸症:不眠症、神経症
構成生薬
神経の高ぶりやイライラが気になる方に…
イライラして、心身が落ち着かないときに、「ホノミラビオ錠」は神経の高ぶりを鎮めることで、イライラや緊張、興奮感などの症状を緩和していきます。
効能・効果
緊張感・興奮感・いらいら感の鎮静、上記症状に伴う頭重・疲労倦怠感の緩和
構成生薬
これらのお薬は、ホノミ漢方会会員の薬局・薬店でお買い求めいただけます。
お薬は体質や病状を考えて正しく服用することが大切ですので、どのようなお薬が適しているのか、お近くのホノミ漢方会会員の薬局・薬店で詳しくご相談下さい。
安静錠、コンレス錠、ホノミラビオ錠を試してみたい方、お住まいの近くで取扱店をお探しの方は、弊社お問い合わせ窓口(剤盛堂薬品 学術部)までご相談下さい。