昨今、子供の体力は昭和の時代から低下しているといわれています。
近年ではコロナ禍の影響も大きく、体力テストの結果は令和元年度の調査から令和4年度の調査まで、連続して点数が減少しているようです。
また身体面だけでなく、神経面でも影響が見られ、あるアンケート調査ではコロナ禍において、幼児の寝つきが悪くなった、癇癪が増えたという結果もあります。
子供の虚弱体質は、放っておくと学校生活や学業に影響を及ぼすこともあるため、体質改善を試みることが重要です。
そこで今回はそんな『子供の虚弱体質』をテーマに、お話ししていきましょう。
「虚弱体質」とは
虚弱体質に明確な定義はありませんが、虚弱な子供には、明らかな疾患が見られないにもかかわらずさまざまな症状を訴える、風邪をひきやすく、回復が遅いなどの特徴があります。
中でも「身体が虚弱で、筋肉の発達が悪かったり、貧血傾向、また神経質な体質」は腺病体質と呼ばれます。昔はそのような子供は結核にかかりやすく、リンパ腺結核を伴うことからこのような名称がつけられていました。
他にも虚弱・腺病体質の子供には以下のような特徴があります。
子供の虚弱体質で起こりやすい病気、症状
ここからは、虚弱体質の子供に多い病気や症状について、順に見ていきたいと思います。
扁桃・アデノイドの肥大
扁桃はのどの左右の両側、アデノイドは口蓋と呼ばれる口の天井部分の奥、鼻腔とのどが繋がっている場所にあるリンパ組織です。
どちらも免疫に関係する部分であるため、細菌やウイルスの感染、アレルギー症状の影響で腫れることがあります。
扁桃とアデノイドの腫れは小児によくみられる症状であり、腫れ自体がなんらかの症状を起こすことは通常はないとされていますが、耳や副鼻腔の感染症を繰り返す原因になったり、空気の通り道が狭くなることから睡眠時無呼吸症候群の原因になることもあります。
癇癪(かんしゃく)
癇癪は激しい感情の爆発で、欲求不満や疲れ、空腹に対する反応として起こります。
通常、癇癪は1歳くらいから始まります。魔の2歳児といわれるように、2~4歳頃が癇癪のピークで、5歳を過ぎると減っていきます。
癇癪を起こした子供は叫ぶ、金切り声を上げるなど大声を出したり、たたく、蹴る、物を投げるなどの暴力をふるうこともあります。
夜尿症・夜驚症
睡眠時に起こる異常な体験や行動を睡眠時随伴症状といい、夜尿症や夜驚症、睡眠時遊行症(夢遊病)、悪夢などがあります。
多くは年齢とともに改善しますが、まれに成人期まで持ち越す場合があり、本人や周囲に危険が及ぶようなときは、積極的に治療を行います。
夜尿症
夜尿症とはいわゆる「おねしょ」のことですが、小さいうちは誰にでもあるもので、5歳頃を過ぎても症状が持続している場合に、夜尿症と診断されます。5歳時点での有病率は15%ほどで、年齢とともに減少します。
夜尿症自体は生命を脅かすような疾患ではなく、また年齢とともに自然に治癒していくことも多いものですが、本人の自尊心が低下することや、一緒に住む家族の生活の質(QOL)や心理面に負担がかかるともいわれており、放置せずに積極的に改善を目指すことが望ましいとされています。
夜驚症
夜驚症は入眠後間もなく、深い睡眠であるノンレム睡眠中に不完全に覚醒(寝ぼけている状態)してしまい、叫び声を上げたり、何かに怖がって激しく転げまわったりする症状です。
発作の最中はなだめても興奮が治まらず、何か質問をしたとしても反応しませんが、通常は数分で再び入眠します。
3~8歳で最もよくみられる症状で、ほとんどは治療しなくても改善するとされています。
アレルギー疾患
アレルギー疾患には、食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、などさまざまありますが、子供の場合、乳幼児期にアトピー性皮膚炎を発症後に食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎と、成長とともにアレルギー疾患が移り変わっていくことが多く、これを「アレルギーマーチ」と呼びます。
アトピー性皮膚炎・乳児湿疹
アトピー性皮膚炎はかゆみのある湿疹を起こす疾患で、乳児湿疹はその名のとおり乳児期に起こる皮膚トラブル全般のことを指し、その中にはアトピー性皮膚炎も含まれます。
アトピー性皮膚炎を持つ人の多くは「アトピー素因」を持っているといわれます。
アトピー素因とは、IgE抗体と呼ばれる免疫にかかわる物質を産生しやすい体質、またはアレルギーの家族歴のことを指します。
すなわち、体質としてアレルギーを起こしやすい人の皮膚バリア機能が低下したときなどに起こる湿疹がアトピー性皮膚炎です。
強いかゆみや乾燥肌(アトピックドライスキン)、また良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴で、患部を掻き壊してしまうことで症状が悪化し悪循環を引き起こすことも多くあります。
かつては食物アレルギーがあるとアトピー性皮膚炎にかかりやすいとされていましたが、最近の知見では、アトピー性皮膚炎でバリア機能が低下した皮膚からアレルゲンとなる食べ物が侵入することでも、食物アレルギーを発症することが分かってきました。
アレルギーマーチを引き起こさないためにも、アトピー性皮膚炎や乳児湿疹の対策が重要です。
食物アレルギー
食物アレルギーは通常であれば異物として認識しないはずの食べ物に対して起こるアレルギー反応で、原因となる食べ物を食べた直後(30分~2時間)に、皮膚や消化器などにさまざまな症状が現れます。
0~1歳くらいまでに症状が出ることが多く、年齢とともに改善することも多いものです。
喘息
喘息は、何らかの刺激(アレルゲンとなるダニやハウスダスト、冷たい空気)によって気道の壁が炎症して分厚くなり、気道が狭くなることで起こる病気です。主な症状には、咳や痰、ヒュ-ヒュー・ゼーゼーとなるような喘鳴、呼吸困難、胸部圧迫感などがあります。
症状は夜間から早朝にかけて起こりやすく、咳や喘鳴で目が覚めてしまうこともあります。
健康な人では、風邪をひいたときなどに炎症が起こるだけですが、喘息の人では咳などの発作がないときにも常に炎症が起こっています。慢性的な炎症があると、少しの刺激で気道が敏感に反応し、さらに炎症して腫れが進むことで、気道が狭くなってしまいます。
アレルギー性鼻炎
原因物質(アレルゲン)に反応して、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状を引き起こします。
ハウスダストやダニ、ペットの毛などが原因となる通年性のアレルギー性鼻炎と、花粉が原因となる季節性のアレルギー性鼻炎(いわゆる花粉症)とがあります。
鼻水はサラサラした透明な性状で、くしゃみを連発するのが特徴です。
以上のような病気・症状が虚弱な子供に起こりやすく、体質改善を目的に生活習慣の見直しとともに、場合によっては漢方薬を活用する対策も有効とされています。
続いて漢方では、これらの虚弱体質をどのように考えるのか見てみましょう。
漢方における「虚弱体質」の考え方
漢方では虚弱な体質を大きく「陽病」と「陰病」に分けて考えます。
子供の虚弱体質の場合は陽病タイプが多く、環境の変化やアレルゲンに対して敏感に反応してしまうことで、神経的な症状やアレルギー、炎症など、さまざまな不調を引き起こします。
一方で、高齢者などは年齢とともに陰病タイプが多くなり、身体の疲れや倦怠感、冷えなどの不調を起こしやすくなります。
ホノミ漢方における対策法
一般漢方処方では、外部からのストレスなどに敏感でアレルギー疾患などを起こしやすく、癇癪を起しやすい、すなわち陽病体質の虚弱児には「柴胡清肝湯」などの漢方薬が用いられます。
そしてホノミ漢方ではこの柴胡清肝湯をベースに、より効果を高めるための改良を施した、陽病体質の子供の虚弱体質に「アクマチック」というオリジナルのお薬があります。
アクマチック(第2類医薬品)
効能・効果
虚弱者、小児腺病体質者の体質改善、およびこれらの者の次の諸症:扁桃腺肥大、アデノイド、湿疹
生薬構成
自律神経の亢進による臓器の炎症を鎮めるオウレン、オウバク、オウゴン、サンシシ、サイコ、カロコンに加え、化膿やアレルギー症状を改善するキキョウ、ゴボウシ、レンギョウ、カンゾウ、ハッカ、そして血行・ホルモンバランスを整えるトウキ、センキュウ、シャクヤク、ジオウの構成となっており、アレルギーなどの炎症を鎮め、虚弱体質を改善していきます。
子供の健康のお悩みは、本人にとっても、また周囲の家族にとってもつらいものです。
全国のホノミ漢方会 会員の薬局・薬店であれば、本人とご家族の話を聞き取ったうえで、適したお薬を選んで頂くことができます。まずは一度相談してみませんか?
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